都市キャノピー乱流と生態系

森林において、太陽の光を直接受ける枝葉の部分は林冠(キャノピー)と呼ばれ、その下で多様な動植物が生きています。同様に、高層建物を木々に見立て、林立する高層建物を包含する領域は都市キャノピーと呼ばれます。その都市キャノピーで、多くの人間が多様な動植物と共存しています。 ミクロな視点では、自然キャノピーと都市キャノピーではその乱流状態は大きく異なります。 木々は複雑な形状(フラクタル形状)を持ち、風に揺れ、風を和らげるため、自然キャノピー内では比較的穏やかな風環境です。一方、都市建物は比較的単純な形状であり、基本的には風に動じません。マクロな視点では都市建物は風を弱めますが、ミクロにはビル風という形で突風を生じることもあります。 つまり、都市キャノピー内の風環境は穏やかとは言えません。このような風環境の違いが、個々の動植物、さらには生態系に及ぼす影響に興味を持って研究を行っています。 具体的には、多様な風環境下における昆虫飛翔の数値解析、フラクタル形状をもった木と風の相互作用に関する数値解析を行っています。

 

昆虫飛翔に対する数値解析のイメージ図(左)とフラクタル形状を持った木に対する数値計算領域図(右)