スパコン1秒の計算に人間は140億年かかる

東工大生の平均演算速度は0.0030[FLOPS]であることが明らかになった。
現在(2021年6月時点)、世界最速のスーパーコンピューター富岳は442.01PFLOPS(ペタフロップス)の性能を持つ#1。 富岳が1秒で行う計算を東工大生が行った場合、140億年かかる計算だ。これは宇宙の年齢に匹敵する#2

(#1 LINPACKというベンチマークの性能、#2 wikipedia)

東京工業大学 学術国際情報センターの大西領准教授は、 2021年度第1クオーターに開講された”Computational Fluid Dynamics”を受講した東工大生の協力を得て、 人が紙と鉛筆でて計算した場合の浮動小数点演算速度(floating-point operation per second, FLOPS)を測定した。 具体的には、1.2345678×9.8765432=12.193262(有効数字8桁の単精度計算)の手計算を行い、その計算にかかった時間を計測した。 その時間の逆数からFLOPSを得た。

学生66名の計測を集計した結果、その平均は0.0030[FLOPS]であった。

ただし、61名のうち30名は一度は計算間違いをしていた(5名の学生はトライ数を報告しなかった)。 おおよそ半数は一発で正解を得る事ができていない。 中には、5度目のトライでようやく正解を得た学生もいた。

「計算は正確に。」

と自身も間違えた大西准教授は言う。

大西准教授はこう続ける。
「現在(2021年6月時点)、世界最速のスーパーコンピューター富岳は442.01PFLOPS(ペタフロップス)の性能を持っています。 富岳が1秒間に行える演算数を、1人で行おうとすると、140億年かかる見積もりです。 仮に、東工大生一万人が取り組んでも、140万年かかる途方な計算を1秒間で、しかも間違いなく、実行できるスーパーコンピュータ。 将来的には、現在のスーパーコンピュータが何年もかかる計算を1秒で実行できるようなコンピュータも出てくるでしょう。 そんな膨大な計算能力を使って何ができるか想像してみて欲しい。」


大西准教授のFLOPS計測の様子。1回目の計算は失敗。2回目は成功。 それにかかった時間が5:33(=333s)であったことから、1/333=0.0030[FLOPS]であった。 たまたま、東工大生の平均と同じFLOPSだったということになる。


*脚注 本記事は、授業の一環で実際に計測されたデータをもとにまとめたものです。